ミートボールのような伝統的なスウェーデン料理はどの時代でも普遍的に人気があり、こういった料理を扱うレストランは今も多い。しかし今日では、伝統料理以外をサーブする人気レストランが多くなってきている。そんな料理の一つがケバブだ。
伝えられるところでは、ケバブはトルコからの移民によって1970年代にヨーロッパではじめてベルリンにもたらされ、スウェーデンにおいてはその後の80年代に食されるようになった。ケバブとは 〜 近年では日本でも見られるようになったが 〜 金属の棒に幾重にも巻きつけられた肉(牛or羊or鳥)の塊を、特殊なナイフ(最近では電動ナイフもある)で薄く削り、野菜と一緒に盛りつけたりサンドウィッチにしたりなどさまざまなスタイルでサーブされる、主に中近東に広く普及している料理の総称だ。スウェーデンにおいては、ケバブを扱うレストランの大半はリーズナブルで、むしろファーストフードとして普及している。
1990年代の幾年かにわたり、メードボリャプラッツェン広場の東側にあるイェートガータン通りを挟んで向かい同士に店を構える2件のケバブレストランによって“ケバブ戦争”と呼ばれる熾烈な価格競争が繰り広げられた。一方が値段を下げればもう一方がさらに下げる、といったことが延々と繰り返され、一時は5クローナ(当時のレートで約75円)というとんでもない安さでケバブが売られたほどだ。しかし噂ではこの2件のレストランのオーナーは兄弟らしく、この“戦争”は宣伝のために仕組まれた、ただの茶番だったとも言われている。
とはいえこういったやり方が功を奏したのか、今日ではケバブはスウェーデンでもっとも一般的なファースト・フードの一つにまでなった。日本の“飲んだ後のラーメン”と同じように、スウェーデンではバーやクラブで遅くまで飲んで騒いだ帰りに終夜営業のケバブレストランに行くのは、もはや一般的になってきた。これまで南部の都市マルメのケバブがスウェーデンで最もおいしいといわれてきたが、最近ではストックホルムでもそれに劣らないようなおいしいケバブを食べることができるようになった。そんなケバブレストランの一つが、フリードヘムスプランにあるストックホルム・ケバブだ。
ストックホルム・ケバブでは、スウェーデンの一般的なケバブを提供している。たとえば、ピタパンかトゥンブレードというスウェーデンのパンにケバブと野菜を挟んだものや、皿にそのままケバブをサーブしてもらうことも可能だ。エジプトが起源と言われるファラフェルというヒヨコマメでできた揚げボールもあり、スウェーデンに大勢いる菜食主義者がケバブレストランに行っても食事ができるようになっている。
ケバブ:39〜89クローナ(種類による)