昼間はヒップなデザインショップやユニークなカフェが賑わうセーデルマルムのソフォは夜も楽しい。
エリアの中心であるニートリェット広場(Nytorget)から、裏通りともいえるような小さな路地を入ったところにヘーグクバテーレットはある。この定義するのも難しいバーを兼ね備えた カルチャースペースは、2009年秋にオープンした。多様なセクシュアリティへのリスペクトや、アンチ人種差別主義などのイデオロギーを吸収したクイア・フェミニズムといったオルタナティブなコンセプトを掲げるこの施設は、多様な層からの人気を集めている。
バーとしての へーグクバテーレットは、さっと立ち寄って、カジュアルな会話を楽しめるような自発性を売りにしている。そういったコンセプトもあってジャケットを預けるのもセルフサービス式であり、自宅のクローゼットにいるような感覚だ。また、天井からぶら下がるプラスチックドールや、レトロなミシンを囲んだソファーなど、インテリアもユニークであり、昼間のソフォの雰囲気をそのまま夜の居間に持ってきたようなスペースを提供する。
イベントの内容は毎週変わり、それによってオーガナイザーや客層も少しずつ変わる。つまり多様性を肌に感じることのできるスペースなのだ。例えば、レギュラーイベントであるシネマ・クイア(Cinema Queer)では、一般のスウェーデン人が観るようなメインストリーム作品とは違った視点から撮られた、オルタナティブな映画を、ヴィーガン(純菜食)のメニューと共に上映するプログラムも行われている。このイベントでは、以前には、スウェーデンのメディアでも話題を集めた、フェミニズムの視点から作られたポルノ映画「ダーティー・ダイアリーズ」(Dirty Diaries)などが選出されている。
またカルチャー・スペースとして、ディベートやレクチャーなどが行われることがあり、フリーランスのジャーナリストを招いた多文化主義に関するセミナーや、フェミニストのエッセイストの対談などが不定期に企画される。またはセミ・アマチュアやアンダーグラウンドのアーティストやDJがパフォーマンスを行うことも多く、新しい才能を発見する場でもある。ジャンルも、ポップ、ヒップホップ、エレクトロ、カントリー、ジャズ、ブギなど多種多様であり、メインストリームの音楽に踊り疲れた人にもおすすめできる。
(Text/Photo: Yoshihiro Takahashi)