ストックホルムガイド バーBar

バー・ナダ (Bar Nada)2010.09.16

バー・ナダ Bar Nada雨後の筍のように新しいバーやレストランがひしめく街、セーデルマルムソフォ。どの店もクールな店になるべくあらん限りの創意工夫を凝らすものの、そのほとんどが結実することなく閉店に追い込まれるのが現状だ。クールさを追い求めるあまり、成功に手が届かないのだ。時には古いことだってベストな存在であり得る。それを如実に表しているのが、ここバー・ナダだ。この店は、クールになろうとしているのではなく、シンプルにクールそのものである。

バー・ナダは、このエリアが“ソフォ”の愛称で親しまれるようになる以前から、いつも人々が集まる中心だった。かつて同じ場所に店を構えていたグルドアーパン(Guldapan)というバーがその前身で、グルドアーパンは90年代後半から00年代初頭にかけては、当時の流行を先行く洒落者たちや地元の常連客のたまり場だった。2002年にオーナーが変わり、店名をバー・ナダにあらためても店のコンセプトは何ら変わらず、当時の良さをそのまま引き継いていて、それが今なお多くの人々に愛され続けている所以なのだろう。かつての常連客は、今なお当時と同じ席に腰をおろしてグラスを傾けているのだ。

バー・ナダ Bar Nada“Nada”はスペイン語で“無”の意味。きっとこの店には名前なんてものは不要で、外に掲げられた“BAR”のサインで十分ということだろう。インテリアが派手なわけでも接客が過剰なわけでもなく、ただただリラックスした雰囲気の店内だ。際立って特別なものがあるわけではないからこそ、ストックホルマーが他所から来たゲストにこの店を勧めることはあまりしないかもしれない。

一方、一杯を飲みたくなるどんな夜にもバー・ナダを選べば失敗することはないだろう。ここに通う客は誰でも、店の雰囲気やそこにいる人々に何を期待するかを知っている。平日であってもたいていの夜は混み合っていて、なぜだか週末の夜よりも平日の夜の方が人気があるようだ。毎晩DJはジャンルを問わず流行の曲を流し、時々小さなライブも行われる。地元のアーティストでもあるディセイが奥の部屋の壁一面に描いたウォールペインティングが、ナダのルーツを示唆している。

ドリンクの価格は程々で、小腹が空ていればタパスが一品70クローナから楽しめる。サービスは素早く、料理は仲間とシェアするのに最適だ。しかし、スパイシーなトマトスープは別格で、独り占めしたくなる一品に違いない。
(Text: Gustaf Kjellin / Photo: Martin Ekelin)

エリア
メードボリャプラッツェン
地下鉄駅
: メードボリャプラッツェン(Medborgarplatsen)
営業時間
: 毎日17:00〜01:00
住所
: Åsögatan 140
電話
: +46-8-644 70 20